機能不全家族とは?
機能不全家族とは、家族内のコミュニケーションや役割分担が適切に行われず、家族メンバーの心身の健康や成長に悪影響を及ぼす家庭のことです。
愛情が受け取りにくい家庭環境では、大人になってからも周囲に適合するのが難しいと感じることが多いかもしれません。
機能不全家族について、下記の項目でご説明します。
- 虐待・ネグレクト
- 精神的・物理的に過干渉
- 愛情が不均等
虐待・ネグレクト
機能不全家族における「虐待・ネグレクト」は、子どもの心身の健康と成長に深刻な影響を与える問題です。
虐待やネグレクトは、子どもの健全な発達を阻害する要因となります。
虐待は、身体的、心理的、性的虐待を含みます。
それらは子どもに直接的な苦痛を与えます。

ネグレクトは、「育児放棄」とも呼ばれます。
子どもに必要な食事、衛生管理、医療、教育などを提供しないことなど。
これらの行為によって、将来的に、以下のことが引き起こされる可能性があります。
- 子どもの心に深い傷を残す。
- 自己肯定感が低下する。
- 対人関係がうまく築けない。

例えば、親が感情的に不安定で、子どもに日常的に暴言を吐いたり無視することは、虐待にあたります。

また、経済的な困窮や親の無関心から、
・子どもが十分な食事を与えられない。
・学校にも行かせてもらえない。
この場合はネグレクトに該当します。
虐待やネグレクトは、子どもの基本的な権利を侵害する行為であり、早期の介入と支援が必要です。
関係機関との連携や地域社会のサポートを受けましょう。
子どもたちが安全で安心できる環境で成長できる社会を目指すことが大切です。
精神的・物理的に過干渉
機能不全家族の「精神的・物理的な過干渉」は、子どもの自立を阻害する特徴です。
親が過度に関与することで、子どもは自己決定の機会を失います。
このことが続くと、自己肯定感が低くなっていきます。
過干渉は、親が子どもの生活全般に過度に関与し、子どもの自律性を損なう状態を指します。
親が「自分の不安や欲求を満たすため」、子どもをコントロールする。
それは子どものためではなく、親自身のためだった。

例えば、親が子どもの交友関係や進路を過度に制限する。
子どもの気持ちを無視したものだったとしましょう。
親から行動を強要されるので、子どもは自分の意見を持つ機会を持ちません。
子どもは、自分の「こうしたい」と思うのをやめて、ただ親の期待に応えようとするようになります。

別の例です。
母親が娘の服装や髪型、友人関係にまで細かく指示し、娘が自分の意志で選択することを許さなかったとしましょう。
娘は「自分で服や髪型を選んだ経験がない」そのまま、大学生になるかもしれません。
常に母親に聞く・顔色を伺う大人になることでしょう。

過干渉は子どもの自立を妨げ、自己肯定感を低下させる要因となります。
最後に、機能不全家族からの影響を断ち切る方法を記します。
- 過干渉な親の行動を認識し、適切な距離を保つ。
- 専門家のサポートを受け、自己肯定感を高める。
- 自律的な生活を目指す。
愛情が不均等
機能不全家族の特徴の一つである「愛情の不均等」は、特定の子どもに偏った愛情が注がれる状態を指します。

この状況は、他の子どもたちの自己肯定感を著しく低下させる要因となります。
機能不全家族における愛情の不均等は、子どもたちの間で愛情の差が生じ、心理的な不均衡をもたらします。
親が、特定の子どもを好み、その子だけに多くの時間や関心を注いだとします。
すると、贔屓された子ども以外のきょうだいは、「無視されている」と感じます。

その子どもたちは、自己価値が低くなりますね。
「自分は愛される価値がない」と感じて、大人になってから悩むかもしれません。

また、親が「長男だから」「女だから」といった役割を押し付けることも、愛情の不均等を生む原因となります。
親が長男ばかりを可愛がる。
長男以外の兄弟は愛情不足を感じ、自己肯定感が低下する。
大人になって、恋愛関係で、以下の状態を招くかもしれません。
- 他者を信頼することが難しいと感じる。
- 相手に過度な依存心を持つ。
「愛情の不均等」は、機能不全家族において深刻な問題です。

子どもたちの健全な成長を妨げる要因となります。
親はすべての子どもに対して公平な愛情を注ぐよう心がけましょう。
愛情不足を感じた子どもは、自己肯定感を高めるためのケアやサポートを受けることが重要です。
長女が担う役割とその影響
機能不全家族の長女は、大人になってから「生きづらさ」を感じる人が多いです。
彼女たちが家庭内で担った役割について、下記の項目で説明します。
- 「しっかり者」や「親代わり」の役割
- 長女が抱える責任感とプレッシャー
- 長女が感じやすい罪悪感と自己否定
「しっかり者」や「親代わり」の役割
機能不全家族の長女は、しばしば「しっかり者」や「親代わり」としての役割を担うことを強いられます。
このことで、長女におよぶ心理的影響は、
- 自己犠牲的な傾向を強める。
- 自己肯定感の低下につながる。
機能不全家族の長女は、家庭内で親の役割を代行することがあります。
過剰な責任を負い、精神的な負担を抱えやすいです。
- 親が精神疾患を抱えている。
- 親が未熟である。
長女は家事や幼い兄弟の世話を任されたのかもしれません。

親からの「しっかりしているべきだ」「親のサポートをすべきだ」という期待に応えようとします。
そして、自分の感情や欲求を抑え込むことが習慣化されます。

母親が神経質な場合、長女は母親の感情に敏感になり、常に気を配るようになります。
その分、自分を犠牲してしまいます。
シングル家庭や母親が精神疾患の場合、長女は
- 家事全般や幼い弟妹の世話を担う(ヤングケアラー)
- 体調不良を訴えても「心が脆すぎる」と非難される(感情や体調を理解してもらえない)
このような状態で育つと、長女は感情表現を抑制し、自己犠牲的な行動を続けることになります。

機能不全家族で育った長女が「しっかり者」や「親代わり」を担うことは、
・自己犠牲的な傾向を強める。
・自己肯定感を低下させる。
このような可能性があります。
自分の感情やニーズを大切にし、必要であれば専門家のサポートを求めることが重要です。
長女が抱える責任感とプレッシャー
機能不全家族で育った長女は、過程内で多大な責任感とプレッシャーを抱えて生きてきました。
- 妹や弟の世話や家事を引き受け、自分を模範とされてきた。
- 親の感情的な依存の対象となり、過剰な責任を負わされる。

この状況から、長女は自分個人の成長や願望を抑え込んでしまう。
本人が気が付かないうちに、責任感からそうしてしまうこともあるでしょう。
このことで、長女は大人になってからも、自己評価や人間関係に影響を与えているかも知れません。
長女が感じやすい罪悪感と自己否定
長女は親の過剰な期待や役割を背負いがちのため、自己犠牲的な傾向も出て来やすいです。
たとえば、親の期待に応えられないと感じるときなどです。
- 親が長女に理想像を投影する。
長女は、親から過度な責任を負わされる(荷が重いと感じる)。 - 親と長女の間で共依存が生じた場合。
親の期待に応えたいと感じ、長女は自分の意思で行動することが難しくなる。
親は、長女を過保護や過干渉をしてしまうことがあります。
すると、長女は自立しづらいと感じるかもしれません。
親からの過度な批判や非難によって、自己肯定感が低くなるということもあります。
機能不全家族で育った長女の特徴
機能不全家族で育った長女の特徴を、下記の項目に分けて説明いたします。
- 完璧主義になりやすい
- 他人に頼れない・甘えられない
- 過剰に他人の感情を気にする
- 自己犠牲をしがちでNOと言えない
完璧主義になりやすい
長女は、家族内での過度な期待や批判を受けて育ってきました。
- 長女は家族の期待を一身に背負う。
だから、完璧でありたい。完璧にしたい。期待に応えたい。
そう思って、常にがんばり続けてしまう。 - 親が子どもに対して批判やダメ出しをしてしまう。
子どもは「完璧にしなければならない」と考えるようになる。
過程ないで、精神的な負担を感じ続けると、孤独感や無力感が芽生えます。
無意識に無理をし続けているので、孤独感や無力感の原因に気付けなかった人もいるでしょう。
つらくなったら、無理せず、妥協や休息すればよい、という風に変えていきましょう。
他人に頼れない・甘えられない
機能不全家族で育った長女は、他人に頼ったり甘えられないと感じるかもしれません。
過去の家庭環境で、親が過度に支配的だった。
または、親が子どもに無関心だった。
このような状況で、適切な愛情を受けずにおとなになった人は、他人に助けを求めたりすることに抵抗を感じるかもしれません。
- 「長女だから」と、自分の感情を抑制させる。
(自分の感情を表現しない) - 他人に頼むことをしない。
自分で抱え込み、なんとかしてきたという経験をもつ。 - 親から比較されたり批判を受けた。
他者からの評価を過剰に恐れる。
子ども時代に経験したことがないことは、大人になってもなかなかできないこともあるでしょう。
家庭環境がもたらした結果は、自己肯定感や対人関係を見直し改善していくことが大切です。
過剰に他人の感情を気にする
機能不全家族で育った長女は、過剰に他人の感情を気にすることが多く、自分の意見や感情を表現することが苦手な人が多いです。
そんな人は、下記のような環境で育ったのではないでしょうか。
- 長女が家族のバランスを保つために自分の感情を抑圧してきた。
- 家族の期待に答える役割をずっと演じてきた。
家庭内でのトラブルや揉め事を避けたいために、意見を言わない。
家族の間に入って仲裁したり、我慢したりする。

何かあったときすぐに対応できるよう、常に家族の反応を気にするという習慣が身についてしまうかもしれません。
きょうだいが多いことで、長い期間、長女としてがんばってきたことでしょう。
意見を言わない、周囲の人々の顔色や機嫌が気になるという性質になってしまうのも当然ですね。
「生きづらさ」と感じた長女のあなたは、まずは自分の思いを把握するために周囲のサポートを求めましょう。
自己犠牲をしがちでNOと言えない
上の項目の「顔色を見る」という特色に加えて、「NOと言えない」という傾向もあります。
例えば、
- 子どもが親の期待や要求に答えるために、自分を犠牲にすることを強いられる。
- 特に、長女は他人の期待に応えるために、自分の感情やニーズを我慢する。
- いやだと思っても、断ることをした機会をもたなかった。
このように、我慢や自己抑制をするので、ストレスは溜まっていきます。

子どもながらに心身の不調を起こすことがありますよ。
具体的には、家族の要求に応えるため、自分の予定や計画を変更したりする。
思ったことを言わない(相手に合わせてしまう)。

このような自己犠牲の積み重ねは、精神的な負担を増やしてしまいます。
そんなあなたは、これからの人生では「NO」ということを学びましょう。

言い方なども含めて、少しずつ練習していけば大丈夫ですよ。
自己犠牲を減らし、精神的な健康の維持をめざしましょう。
自分のことも大切にしながら、人間関係を保つことができることを知っていただきたいです。
自分が機能不全家族で育った長女かもしれないと思ったら
自己理解を深めるセルフチェックリスト
あなた自身の経験を振り返り、自己理解を深めるために下記のチェックリストに答えてみましょう。
当てはまる項目が多いほど、機能不全家族で育った影響を受けている可能性があります。
以下の質問に、「はい/いいえ/どちらともいえない」で答えてください(個数をカウント)。
- 自分よりも他人のニーズを優先してしまう。
- 頼まれると断れないことが多い。
- 自分の意見を言うのが苦手だ。
- 自分の感情を表現することが難しい。
- 怒りや悲しみを抑え込むことが多い。
- 感情的になりたくないと思ってしまう(避ける)。
- 何事も完璧をこなそうとする。
- 「失敗したくない」と思っている。
- 自分に厳しい。
- 小さなことで罪悪感を感じやすい。
- 「自分が悪い」と思ってしまうことが多い。
- 「人に迷惑をかけてはいけない」と強く思う。
- 自分に自信がない。
- 自分を過小評価してしまう。
- 自分の良いところを見つけるのが難しい。
- 他人との境界線が曖昧になりやすい。
- 人に依存してしまうことがある
- 対人関係でストレスを感じることが多い。
- 子供の頃から親の世話をすることが多かった。
- 家族の中で、自分の役割が曖昧だと感じる。
- 親の期待に応えようとしすぎてしまう。
- 家族間でのコミュニケーションが少ない。
- 自分の気持ちをうまく伝えられない。
- 意見を言うと否定されることが多かった。
チェック後のアドバイス
- 「はい」が多い場合
機能不全家族で育った影響を受けている可能性が高いです。自己理解を深め、必要な場合は周囲のサポートを得ましょう。 - 「いいえ」が多い場合
機能不全家族の影響は少ないかもしれません。各項目の目に止まった質問について、別の視点から見たり、自己分析を深めてみるのもよいかもしれません。 - 「どちらともいえない」が多い場合
自分の感情や経験についての認識があまりできていないかもしれません。時間をかけて自己分析をしてみましょう。
このチェックリストは、自己理解の入り口に過ぎません。
さらに理解を深めるための具体的な方法として、下記の方法があります。
- 日記をつける。
自分の思考や感情を書いてアウトプットする方法です。
自分を客観視できて、自己分析が深まるでしょう。 - カウンセリングを受ける。
専門家のサポートを受けながら、自分の過去や感情と向き合うことができます。 - 本から学ぶ。
機能不全家族に関する書籍を読み、知識を得ることで安心感を得られます。 - 自己分析ツールを使う。
診断テストなどを使うことにより、自分を客観視しやすくなります。
方法はいろいろあります。
自分と向き合う作業は、つらいこともあると思います。
焦らずゆっくり進めば良い、という気持ちで試してみることをおすすめします。
同じ経験を持つ人の体験談を聞く
同じ経験の人の話を聞くことは、とても重要です。
- 同じ経験の人に共感できる。
- 自分の経験に対する理解が深まる。
そのことで孤独感が軽減しますよ。。
私だけではないんだ、、って思えますね。
機能不全家族で育った人は、家庭内で愛情や肯定された経験が不足しています。
虐待やネグレクトを受けたりすることもあります。
この経験について、他者からの共感や理解を感じるおとで、心が解放されるでしょう。
似た経験の人と話すことも、孤立感が軽減することもありますよ。
たとえばサポートグループや、オンラインのコミュニティも探してみましょう。
経験を話し合うことでお互いを支え合うことができます。